原作の感想:終章
原作の感想。(『圍城』、『龍頭』はこちら)
以下、『終章』の感想です。ちょっとスペース開けときます。
#『終章』感想
「愛してるけど取り戻せないもの」や「守れたけど失ったもの」がたくさんある小説だった。
私は信一がとても好きなので、2章以降はずっと「神は信一に試練を与えすぎでは…!?」と泣きながら読んでいた。
龍捲風の死だけでも十分すぎるのに、幇を剥ぎ取り、龍頭という哥哥から引き継いだものを剥ぎ取り、昔話をする相手を剥ぎ取り…。最後には龍捲風の子というアイデンティティまで剥ぎ取られるのか…。いや、そこは血より濃いものが残されていると思っているけど、だがそれでも……。
信一本人は文句ひとつなく柔軟に受け入れて前を向いて歩き出しちゃうから、器の小さい私ばかりが辛い。
逆鱗くんとの関係は『信一傳』でふわっと触れられてたけど、経緯が地獄すぎるよー!
偉叔が彼の出自を話して信一に連携を持ちかけるの、無理すぎてここで1週間読むのをやめたほどしんどかった。関係者の尊厳を守れ…!!今その話する必要あった!?そして、その理由で信一を巻き込むのをやめろーーー!信一には一ミリも関係ないだろうが!?(泣きながらクッションを投げる) 信一と初めて会った時の秋叔は気のいいお兄さんだったということは、ウルトラマンのお面よりもあの地獄は後の出来事なわけで……。信一にお仕置きしたり手をつないだり笑いかけたりしていた祖哥哥に後日あんなことがあったのがなによりもつらい……。
逆鱗くんの出自を聞いた信一が秋叔との会談で「なんのことだか忘れたな〜?」というムーブなのが優しさMAXで、本当に器が大きくて、龍城幇の龍頭はお前だよ…!と心から思ったのだった。お前は龍捲風が語った「徳を持って人を動かす」ができる男だよ…!(大贔屓)
ラスト付近、逆鱗くんの顔を初めてきちんと見た信一が、彼の中に面影を見つけているシーンが切なくも美しくて涙が出ちゃった。この二人が殺し合う未来がなくてよかったけど、信一がただでさえ持っていない血による継承をここで示さなくてもさあ〜!!!
でも、少しでも龍捲風の生きた証のよすがが感じられるのは嬉しいことなのか?どうなの??信一の心が広すぎて私にはわからないよ…。でも逆鱗と信一の同人誌があったらちょっと読みたい…(??)
と、色々めそめそしながら読みましたが、エピローグはほんのりと未来があってよかったな。
あと阿鬼。やっぱり好きですという言葉しかない。阿鬼と信一の二次創作無限に読みたい。
あとがきで先生が書いていた「小説・漫画・映画はそれぞれ『異なるパラレルワールド』」という言葉。報われなさや別れまで含めて彼らのもつカルマだとして、それでも四少が出会うこと、信一と龍捲風が出会うことはあの宇宙の法則なんだと思えて、なんとなくほっとしました。この言葉を読めたことが一番良かったかも。
一番”くらった”作品だった。一週間くらい引きずった。いい意味でなのかは……悩ましい。つらいことが本当にたくさんあったので。
描写がかなりハードなので、日本語する時にどうするのか気になる。
#追記:台湾版『終章』の阿鬼
たたんでおきます
阿鬼の最期が違うと聞いて、慌てて読んだ!
ほ、ほんとうだーーー!最後に信一と会話するシーンがある(号泣)
こっちはこっちで阿鬼の苦しみが長く、つらく壮絶なんだけど、それでも今際の際にふたりが声を交わしていて、私が勝手に救われた。
『終章』を読んでいた時に一番つらかったのは、あそこの信一の選択を「お前は悪くなかった」と言ってくれる人が誰もいなかったことだったので。
阿鬼は「お前は悪くない」と言ったわけじゃないのだけど、一番大切にしている人を信一に託す描写があったことで、阿鬼から信一への信頼が途切れていないんだと思えた。もちろん、無言の別れの時も信じていたけど、それを言葉として聞けたのが大きい……。
責めてないと言われたわけじゃないけど「それでも俺はお前を信じる」を受け取った気がした。
「信一哥」と世界で一番呼んでくれたのは阿鬼だよね……。
個人的にはこっちのバージョンの方が好きだな。ここなんで描写変えたんだろう。先生に訊いてみたい。