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原作の感想:龍頭

ばたばたして書けていなかった『龍頭』と『終章』の感想。(『圍城』はこちら)
以下、『龍頭』のあほっぽい感想です。ちょっとスペース開けときます。

#『龍頭』感想

龍捲風がとにかくかっこいい。大きな筋がほぼ龍捲風と雷樂という切れ者同士の知恵比べで進むので、テンポが良く、続きが気になって気になって寝不足になった。雷樂の奥さんを拉致した容疑でとらえられるシーン、最高すぎる。あそこだけでいいからこのまま実写化してほしい。

龍城幇設立の日の描写に胸が熱くなった。
この場にいた人といなかった人で世界が分かたれてしまうと思うほどの熱量。
声を上げることすらできなかった世の中に自分たちの手で爪を立てた。その証として旗を立てた。象徴となる龍捲風の輝かしさと、彼に連なる自分たちへの誇らしさ……!
そういうものが一体になって渦巻いている。
だからこそ、私も自然と思った。
「もし龍捲風の後を継ぐ者がいるのなら、この日の胸の熱さを覚えている人がふさわしい」
これってまんま秋叔なんですよね……。
秋叔の理論を理屈じゃなくて実感してしまった。
後に続く『終章』に続く部分としても、読んでおいてよかった場面だと思います。

初めて同格で会話できる相手として阿JIMがあらわれて、普通の若者らしく遊んでいる阿祖が切なくも美しかった。結末を知っているので、あらゆるシーンで「時よ止まれ……」と祈ってしまったなあ。

あと、これはうまく言うのが難しいのだけど、この作品全体を通して、「今、ここで声を上げること」への切実な祈りを感じました。香港という街で生きる人だから発する言葉なのか、フィクションとしてなのか……。この作品にそういう風に思った、と言葉に出して言っていいのかすら私に知識がなくてわからず、そういう自分がもどかしい……。

全体と推して、作品として非常にシャープで好みだったな。

登場人物についてこまごましたこと

  • 阿祖(龍捲風)、こんなにも鋭利な刃物のようで、美しく、孤独な人だったなんて。この人は勝負をしたら「勝つ」って決めてるんだろうな。世界を変えるためには、勝たないといけない。負けるなんて龍捲風の戦いには許されない。そこが信一と違うところだと思います(信一は「負けない」戦いがうまい)。しかし、まあ、かっこいい…!脳内ビジュアルがピンバッジをさらに若くした感じなので、余計にときめいてしまう。
  • 雷樂のキャラ好き。話が通じるタイプの悪役。阿祖との関係も好敵手って感じでいいな。
  • 藍森おじさんの飄々ともまた違う……なんというか、けろっとしところ(?)かなりらぶいですね。作中ではかなり大変な仕打ちにあうのですが、その瞬間は吐きそうになってるけど、のちに引きずってないのが胆力ありすぎだろって思う。
  • 狄秋さんは……不幸……。No.2としては優秀なんだろうけど、この人の不幸は無意識に自分がてっぺんになりたいところだと思う。長男っぽい。たぶん、作中で一番不幸な目にあっているんだけど、同じくらいトラブルメーカーでもあるので「お前……!」って感じです。でも憎めないよね。
  • 阿JIMなんですけど……これは口調の訳し方によると思うんだけど、この人、信一に似てませんか?!ねえ!?(龍捲風の肩を揺さぶる)。作者先生がロミジュリとおっしゃっているという話は聞いていたけど、台詞も「どうしてあなたは龍捲風なの?」「その名前を捨てて」の本歌取りだったので、想像以上でした。揺らぎも含めて魅力的な人だと思う。

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